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柘植史子さんが週刊俳句〈ウエブマガジン〉第七六〇号「週刊俳句七月九月十月の俳句を読む」に作品評を寄稿。また『俳句四季』十二月号「わが道を行く」に次の新作十五句と自選四十句を寄稿。

めくるめく   柘植史子

空耳へ顔を上げたる夜寒かな
秋惜しむ水かげろふは幹のぼり
はつきりと言ふ独りごと冬隣
初冬や膝に重ねて手の小き
もう着きし頃か花柊こぼれ
濡れ縁の板の痩せたり小六月
茶の咲いて七曜めくるめくばかり
ふと浮かび頭離れず神無月
つれあひに時どき敬語石蕗の花
綿虫や下り来し坂を振りあふぎ
飾り塩こんがりと焦げ夕時雨
凩や電話ボックス灯を囲ひ
誰が夢のなかなる我か冬の鵙
寒空やスプレー缶に穴あまた
水涸れて書かずじまひの手紙かな

柘植史子さんの〈暮早し昼読む本と夜の本〉の句を、河北新報(十一月十四日)「秀句の泉」で及川真梨子氏が批評されています。

・柘植史子さんが角川『俳句年鑑』二〇二二年版「諸家自選五句」に次の五句を寄稿。

囀の心配になるほど続く
三・一一図書返却期限なり
風薫る雀は地味で賑やかで
露草や今日のはじまる水の音
冴ゆる夜の全身遠く立つ鏡

柘植史子さんの〈夕菅やあとから坂とわかる坂〉〈ドアに佇つ少女のわたし初電車〉の句を、同『俳句年鑑』において筑紫磐井氏がとりあげ批評されています。 

栗山政子さんが角川『俳句年鑑』二〇二二年版「諸家自選五句」に次の五句を寄稿。

クレソンの周りの水の揉み合へる
どこがひらくか立秋の鍵ひとつ
たつぷりと日向を歩き櫨紅葉
声をかければ狐火の膨らみ来
凍つる夜をぴしと割りたる柱かな

栗山政子さんの〈拾ひたる昼の木の実に夜が来る〉〈ふうの木の風よく見ゆる今朝の秋〉の句を、同『俳句年鑑』において押野 裕氏がとりあげ批評されています。  

栗山政子さんの〈再会はほんの束の間いわし雲〉の句が「雲の峰」十二月号(朝妻 力主宰)「他誌拝読」にとりあげられています。