掲載情報

・柘植史子さん、栗山政子さん、つげ幻象さんが角川『俳句年鑑』二〇二五年版「諸家自選五句」にそれぞれ五句を寄稿。

柘植史子

金縷梅や遠き会釈に手を挙げて

塗椀の漆のにほふ端午かな

身に入むや謹呈の文字栞とし

鍋肌に水騒ぎだす寒の朝

草駒返る置き配の指定場所

栗山政子

からつぽの胸に囀がいつぱい

逃水の中へガラスの運ばるる

考への散らばる葉桜の並木

梟の応へを待つてゐる座椅子

大根を引きて夕日の穴一列

つげ幻象

半分の人が傘さす夏野かな

葉桜や昔は海を恋ひたるに

たつぷりと一日を生きて夕花野

お呼ばれのあれやこれやに淑気満つ

朧夜の大地にそびえ二本足